高齢者が年金を担保にお金を借りられる「年金担保融資」は2010年に廃止が決定され、2022年3月末で新規申込受付が終了しました。現在は公的な年金担保融資制度が存在しないにもかかわらず、「年金を担保に融資します」と持ちかける業者が存在します。2022年4月以降、年金受給権を担保にした金銭の貸付申込を受け付けることは法律で禁止されているにもかかわらずです。
高齢者がお金に困ったときに頼れる正規の制度と、違法な年金担保融資から身を守る方法について解説します。年金生活者が安心して暮らすためのポイントをおさえておきましょう。
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年金担保融資とは?制度の概要と現状

年金担保融資は長年にわたり年金受給者が一時的な資金が必要になった際に利用できる制度でした。現在は新規受付が終了しており、新たに申し込むことはできません。ここでは、年金担保融資制度について正しく理解しましょう。
年金担保融資制度のしくみ
年金担保融資とは、年金受給権を担保として小口の資金を貸し付ける制度でした。年金証書を担保として独立行政法人福祉医療機構が融資を行い、返済は年金から自動的に差し引かれる仕組みでした。
民間の金融機関と比べ低金利で、高齢者にとって利用しやすい条件でした。融資の使途は医療費や住宅改修、教育費など限定されており、公的な制度として、必要性の高い目的に限定されていたのです。
制度終了の経緯
年金担保融資制度は、2010年12月の閣議決定により廃止が決定されました。生活費に充てるべき年金が返済に回り、利用者の困窮化を招くという指摘があったためです。
2020年の年金制度改正で新規申込受付終了が正式に決定し、2022年3月末で新規の申込受付が終了しました。貸付制度のあり方について見直しが行われた結果といえるでしょう。
受付終了後も借入残高がある人への対応
令和4年3月末時点で借り入れ残高がある場合でも、繰り上げて返済する必要はありません。従来通りの返済計画に沿って返済を続けることができます。
返済に関する問い合わせは独立行政法人福祉医療機構が引き続き対応しています。返済方法の変更や繰り上げ返済を希望する場合は、福祉医療機構に相談しましょう。
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年金担保融資をうたう業者は違法!その危険性とは

2022年4月以降、年金受給権を担保とした金銭の借り入れ申込を受けることは法律で禁止されています。言い換えれば、現在「年金を担保にお金を借りられます」と勧誘する業者は例外なく全て違法です。
違法な年金担保融資の手口
違法な年金担保融資業者は、電話やダイレクトメールで高齢者に接触し、年金を担保に融資できると勧誘してきます。「公的機関の提携業者」などと偽って信頼を得ようとします。融資の条件として、年金証書や預金通帳、キャッシュカードなどの引き渡しを要求するほか、年金が振り込まれる口座からの自動振替を要求されるケースも。
個人情報や金融資産を渡してしまうと、年金が振り込まれるたびに引き出されてしまい、生活を脅かす事態になりかねません。
高齢者を狙う悪質な手法
中には、担保価値のない物品を質に入れる条件とし、実質的に年金を担保とする「偽装質屋」と呼ばれる手口も存在します。形式上は質屋営業を装いながら、実質的には年金を狙う悪質な手法です。
法定利息を大幅に上回る違法な高金利を要求するケースが多く、知らないうちに膨大な負債を抱えてしまうリスクがあります。利息制限法で定められた上限を超える金利は無効ですが、多くの高齢者はそうした知識を持ち合わせていません。
返済が滞ると脅迫をともなう取り立てを行い、債務者を追い詰めます。周囲に相談できず被害が長期化するケースが多く見られます。
被害事例と社会問題化
2004年頃に悪質業者による違法な年金担保融資が社会問題となりました。当時から公的な年金担保融資制度と並行して、違法な業者による被害が発生していたのです。
2013年度には、前述の「偽装質屋」による被害が各地で発生しました。担保価値のない物品を質に取る形式をとりながら、実質的には年金を担保とする手口で多くの高齢者が被害に遭いました。
違法な年金担保融資による被害は高齢者の経済的基盤を奪うだけでなく、心の健康にも大きく影響します。被害を防ぐためには本人はもちろん、家族や地域社会が注意を払う必要があるでしょう。
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年金受給者がお金を借りる正規の方法は?

年金担保融資制度廃止後、2025年現在は年金を担保に借りる公的制度は存在しません。高齢者がお金に困ったとき、どのような選択肢があるのでしょうか。
年金受給者でも、不動産など担保を提供できれば借り入れ可能な金融商品があります。生活に困窮している場合は自立相談支援機関等に相談するとよいでしょう。
年金受給者が利用できる融資制度
社会福祉協議会が実施する「生活福祉資金貸付制度」は低所得者世帯等を対象としており、生活費や医療費、住宅の補修費用などを低金利で借りられます。利用にあたっては住んでいる地域の社会福祉協議会に相談が必要です。
貯金担保自動貸付やリバースモーゲージなど担保を提供する借り入れ方法も検討してみてはいかがでしょうか。貯金担保自動貸付は郵便局の定額貯金や定期貯金を担保に融資を受ける制度、リバースモーゲージは自宅を担保に生活資金を借りられる仕組みになっています。
医療費や生活費の支援制度
医療費の自己負担分が高額になった場合は「高額療養費制度」があります。所得に応じて自己負担の上限額が設定され、それを超えた分が後から払い戻される制度です。医療費が心配で治療を控えることがないよう、積極的に利用しましょう。
生活困窮者自立支援制度では相談支援や家計改善支援が受けられます。収入と支出のバランスを見直し、家計の立て直しをサポートする制度で、専門家のアドバイスを無料で受けることができますので、活用するとよいでしょう。
カードローンなど担保不要の借り入れ方法
年金受給者が利用できる担保不要の借り入れ方法として、カードローンが挙げられます。年金収入だけでも審査に通る可能性がある金融機関が存在します。審査では安定した収入があるかどうかを重視しており、毎月定期的に年金が振り込まれることから、収入源として認められる場合があるのです。
審査においては返済能力が重要視されます。年金収入だけの場合、その金額によっては返済能力が低いと判断されることが多いのが現状です。
申込み前に複数の金融機関の条件を比較し、自分の状況に合った借り入れ先を選ぶことをおすすめします。無理のない返済計画を立てられる範囲内での借り入れを心がけましょう。
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違法な年金担保融資から身を守るには?

「年金を担保にお金を借りられます」という新規融資の勧誘は全て違法なので絶対に応じてはいけません。違法な年金担保融資への注意喚起が厚生労働省や日本年金機構から行われており、高齢者を守るための情報提供が進められているところです。
怪しい勧誘の見分け方
福祉医療機構は、新規の勧誘は一切行っていません。「福祉医療機構の提携業者」などと名乗る業者がいたら、それは詐欺です。公的機関を装った勧誘には特に注意してください。
さらに、金融庁に貸金業者登録されていない業者には申し込んではいけません。貸金業者登録番号を確認し、金融庁のサイトで実在する業者かどうかを調べることができます。
また、年金証書や通帳・キャッシュカードの提供を求める業者は違法です。正規の金融機関では、融資の条件としてキャッシュカードや通帳の提供を求めません。そうした要求をする業者は詐欺です。
被害に遭わないための予防策
不審な電話やダイレクトメールには応じず無視しましょう。そのような連絡を通じて、気軽に連絡先を伝えることは避けましょう。
金融機関や公的機関を装った連絡には特に注意が必要です。本物の機関を名乗ることで信頼感を得ようとする手口は珍しくありません。不安を感じたら、公表されている正規の電話番号に問い合わせましょう。
日頃から家族や親族と連絡を密にしておき、何かあったら助けてもらえる体制を整えておくことも大切です。高齢者の孤立は悪質業者の格好の標的になりやすいため、定期的な連絡や訪問が予防につながります。
被害に遭ったときの対処法
被害に遭ってしまった場合は、すぐに警察や消費者センターに相談しましょう。被害の拡大を防ぐためには、早期の相談が重要です。一人で抱え込まず、専門機関に助けを求めることが解決の第一歩となります。
違法な金利を要求された場合は返済する必要がありません。利息制限法で定められた上限を超える金利は無効です。
闇金問題に詳しい弁護士に相談することも効果的な対処法です。法律の専門家のアドバイスを受けることで、適切な解決策を見つけられるでしょう。
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まとめ

年金担保融資制度は新規受付が終了し、現在は利用できません。現在「年金を担保に融資します」と持ちかける業者は全て違法です。
違法な年金担保融資業者は、年金証書や通帳・キャッシュカードの提供を求めたり、法外な金利を要求したりする手口で高齢者から金銭を奪おうとしています。不審な勧誘には断固として応じてはいけません。
年金受給者がお金に困った場合は、社会福祉協議会の「生活福祉資金貸付制度」や各種支援制度を利用することができます。一人で悩まず相談することで解決の糸口が見つかるでしょう。
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